● フィルムの現像手順

これはビギナーのためのフィルム現像についてのチュートリアルです。
私達は、なるべく簡潔に非常に基本的なことに的を絞ってご紹介しようと思います。

フィルム現像へのアプローチ方法は非常に重要です。少し経験を積んだ後では、きっとあなたに合った作業フローを見つけ出せることと思います。



現像に必要なもの:

- 現像タンク
-チェンジバッグまたは暗室
-現像液
-停止液
-定着液
-タイマー
-温度計
-メジャーカップ
-シリンジ(高希釈をする場合)
-炊事用ゴム手袋(手荒れを防ぐため)
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ビギナーにお薦めの現像液については、こちらをお読みください。

始める前に :

まず、現像液とフィルムの組み合わせに適した現像時間と温度を見出します。
ゆくゆくは、あなた自身の現像時間に調整する必要がありますが、これにはいくつかの経験が必要になります。水質、あなたの個人的な攪拌のスタイル、温度計の正確さ・・など、フィルム現像に影響を与える多くの変化しやすい要因があるからです。
それゆえ、暗室の作業者はみな、それぞれ自分自身の現像スキームを体験する必要があります。現像液に指定されているデータは、始める際のヒントとなり、通常は良好な結果を与えてくれます。優れた結果を得るためには、自分なりの微調整を惜しまないことです。

タンクリール上にフィルムをロードした後は、いよいよ現像の開始です。


準備

使用する薬品は、それぞれの指示に従って、すべてを水と混合して希釈溶液(=作業溶液)を作ります(*希釈方法は、以下にある動画「定着液の希釈」を参考にしてください)。

全ての薬品と水を同じ温度にしておきますが、通常、現像液の推奨温度に合わせます。温度調整は、薬品を入れたメスカップを湯せんしたり、水につけることでもできます。
タンクの底またはラベル上には、各フィルムに必要な溶液の容量が指定されています。

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例えば、定着作業溶液600mlを、1+4の希釈率で混合する場合
定着濃縮液がどのくらい必要かを計算します:
1+4=5
600ml/5=120mlで、定着濃縮液の割合は1だから、120ml 必要
120ml×4=480mlで水は480ml必要、ということになります。

前浴

**この項はオプションです。必ずしも行う必要はありません。
120とシートフィルムには、現像液と同じ温度(通常20℃)の水に3~5分間浸し、前浴することをお勧めします。これは、アンチハレーション層を落とし、フィルムとタンクの温度を調整し、処理温度(通常20℃)に近づけるためです。
また、前浴は、フィルム表面に現像液が均等にいきわたるのを助けます。現像時間が短い(4分以下)場合に特にお勧めします。フィルムと現像液の組み合わせによって、前浴が必要かどうかテストしてみるのもいいでしょう。


現像

現像液に付属の説明書きを確認して、 フィルムと現像液の組み合わせに合った現像時間と攪拌を行います。
あなたが経験を積んでいくうちに、それぞれのフィルムと現像液との組み合わせに対する、あなた自身の現像時間と攪拌が定まってくることでしょう。

マニュアル(付属の説明書)に示されている現像液の混合について

例えば、1+5とあった場合は、1の現像液に対して5倍の水の割合を意味します。仮に590mlの作業溶液を必要とする場合は、98ml (590/6)の現像原液と492mlの水が必要ということです。
また、マニュアルにある推奨温度は守ってください。通常は20℃です。溶液(停止液、定着液は現像液と同じような温度のはずです)は、水浴中で温めたり冷却することができます。 20℃より高温、もしくは低温で使用する場合、あなたがテストする際の開始時間として、[こちらのチャート]をお使い下さい。

現像時間をタイマーにセットします。

攪拌をします。現像タンクの中でフレッシュな現像液がフィルム表面にさらされるよう攪拌する必要があります。現像液が使いつくされ、攪拌することにより、新鮮な現像液が現像過程を継続していきます。
マニュアルに30/60/2とあった場合は、最初に30秒継続的に、その後60秒ごとに2回攪拌するという作業を、現像時間が終了するまで繰り返します。

あなたが現像した時、 いつも同じ結果が一貫して出るようにするために、自分自身の攪拌スタイル(スピード)を意識して、常に同じスタイルで攪拌することが重要です。

現像液を現像タンクに素早く注ぎ、攪拌を開始します。攪拌後、タンクをテーブル上にノックしてフィルム上の気泡を逃がします。現像時間が終わった後は、 殆どの現像液は破棄されなくてはなりません(*2回以上使用できるタイプの現像液もあります。その場合には気密性のあるビンに保管してください)。

停止

現像作業の後は、停止浴を行って進行している現像を停止させます。
現像液を排出したタンクに停止液を注ぎ入れます。初めに3回攪拌し、だいたい30秒、現像タンク内でフィルムを停止液に浸します。
停止液にはインジケータ付きという製品があり、これは停止液が疲労して能力が落ちた時に、色が変化して知らせるというものです。定着液は使用する度に破棄する必要はありませんが、定着液を新しくした時には停止液も新しいものに取り換えることをお勧めします。


定着

停止浴の後、定着液をタンクに満たします。30/30/3で攪拌する場合、最初に30秒連続して倒立攪拌後、30秒毎に3回攪拌、を行います。定着時間は通常3分で十分です。(定着時間についてはそれぞれの定着液のマニュアルを参照してください)

定着は非常に重要な作業です。定期的にあなたの定着液の鮮度をチェックしてください。テストはこちらを参照してください。

保存ボトルに定着液を戻します。通常、600mlの定着液でフィルム5、6本を十分に定着できます。

定着を100%確実なものにするために、最初の定着作業終了後に、2回目の定着を行うことをお勧めします。


第2定着

**この作業はオプションです。必ずしも行う必要はありません。
定着を2回行うと決めた場合、現像タンクに水を入れて短時間攪拌し、最初の定着で使用した定着液を落とします。水を排出して第2の定着液を注ぎ入れます。既に一度目の定着作業で殆どの仕事を終えているため、この定着液はそれほど多く作用しません。セキュリティ対策みたいなものです。一度目の定着液が既に劣化(疲弊)に近づいていたり、フィルムがしっかりと定着されていなかった場合には、第2の定着液は仕事をしてくれることでしょう。

第2定着は、2~3分で十分です。

一度目の定着液が劣化していた時(テストはこちらをご覧ください)、第2の定着液が一度目に使う定着液となりますので、新たに第2の定着溶液を作ります。


洗浄

続いて洗浄します。定着液を排水したら、タンクの蓋をあけて、水道からの流水を5~10分注いで水洗いします。あるいは水の節約のために、タンクに水を満たし、5回、攪拌時と同じように上下に反転させ、タンクの水を空け、再び水を満たし、10回反転させ、再び水を排水。さらにもう一度、タンクに水を満たし、最後に20回反転させて水を空ける、という方法も有効です。
全ての定着液をネガから洗い落とすことが重要です。残留した定着液は時間の経過と共に、ネガを劣化させる恐れがあります。


水滴防止

素早く乾燥させ、また水滴跡が残るのを避けるため、水滴防止剤を使用するのもいいでしょう。製品に付属の説明書をよく読んで下さい。また、水汚れを避けて、乾燥過程をスピードアップさせるため、蒸留水と少量のアルコールを用いることでも対処できます。


乾燥

ホコリが舞っていない部屋にフィルムを吊るして乾かします。バスルームは恰好の場所でしょう。まっすぐに吊るすため、フィルムの底辺部分にクリップなどのおもりを付けます。

短時間で乾燥すると、フィルムがカールしてしまいます。少量の熱い蒸気をバスタブなどに張ることで、速く乾きすぎてしまうことから防げます。
この表は私、モーグのプロセスです。 グリーン色部分はオプションになります。. r r
前浴 3分 120 およびシートフィルムのみ行います
現像 現像液によります
停止 30秒 (3x/15/3)*
定着 1 3分(30/30/3)**
洗浄 5 秒 2回目の定着液の汚染を防ぐために洗浄します。
定着 2 3分(30/30/3)**
洗浄 1 分(連続攪拌)
ハイポクリーン 3 分(30/30/3) (お使いの製品の説明書をお読みください) ハイポクリーン使用により洗浄時間が短くなります
洗浄 2x 10 倒立攪拌, 1x 20 倒立攪拌*** 各回の攪拌が終わる度に新鮮な水を計3回入れ替えます
水滴防止 1 分(お使いの製品の説明書をお読みください)
*全体の作業時間30秒のうち、最初の3回倒立攪拌、15秒おいて3回倒立攪拌
**最初30秒倒立攪拌、その後30秒ごとに3回倒立攪拌
***10回倒立攪拌を2回行った後、20回倒立攪拌を1回行います。

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